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iPS細胞から作った樹状細胞が消化器ガンへ効果

医療ツーリズムのJIMC(日本国際医療センター)です。医療ツーリズム、医療関係等のニュースを紹介しております。



去年のニュースですが和歌山県立大学が「iPS細胞由来樹状細胞を用いて消化器固形癌に対するワクチン効果を初めて確認」という発表を行いました。
・樹状細胞がんワクチン両方の問題点
・iPS細胞由来樹状細胞ワクチン療法
・健常人の皮膚線維芽細胞からヒトiPS-DCの樹立
・iPS細胞由来樹状細胞を用いて消化器固形癌に対するワクチン効果を初めて確認
・将来展望
上記5項目についての発表でしたが人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った免疫細胞の一種である「樹状細胞」で、消化器がんへのワクチン効果が初めて確認できたとの事です。
がん患者から樹状細胞を得るためには大量に末梢血採血が必要で、かつ樹状細胞事態の機能も低下しているなどの問題があったため、樹状細胞をiPS細胞から作り出し、健常な人と同等な免疫機能樹状細胞を作り出す事ができると着目し、マウスを使っての実験でも強力な抗腫瘍効果を発揮したとの事です。

掲載元:和歌山県立医科大学(2018年3月19日)
http://www.wakayama-med.ac.jp/intro/press/201803/180319.pdf


日本人95パーセントに適合 拒絶反応少ないiPS細胞

iPS細胞(人工多能性幹細胞)にゲノム編集技術を用い、他人のiPS細胞でも移植時の拒絶反応を起こしにくくすることに成功したと、京都大iPS細胞研究所の研究チームが発表した。他人のiPS細胞を利用すれば作製時間や費用を大幅に減らせる一方、拒絶反応が起こる問題があった。成果は8日、米科学誌「セル・ステム・セル」電子版に掲載される。

掲載元:毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190307/k00/00m/040/245000c

がん免疫療法の効果、事前に予測可能? 大阪大が新技術

免疫細胞のガンに対する攻撃する力があるかどうかが分かるという画期的なニュースがありましたので紹介いたします。


がん患者の免疫細胞が、どれくらいがんを攻撃する力があるかを調べる技術を開発したと、大阪大の岩堀幸太特任講師(呼吸器内科)らのチームが22日、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文を発表した。この技術を使えば、オプジーボなどのがん免疫療法の効果を事前に予測できる可能性があるという。

オプジーボやキイトルーダといった免疫の力を利用してがんを攻撃する薬は「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれ、様々な種類のがんに使われるようになっている。ただ、よく効く人は2~3割とされる一方、事前に効果を予測する方法は確立していない。

チームは、免疫細胞とがん細胞の両方に結合する性質を持った物質を使用。患者の血液に含まれる免疫細胞とともに皿の中に入れ、がん細胞が死滅する割合をみることで、免疫細胞の攻撃力を評価できることを確認した。

さらに培養皿にオプジーボを加えて実験。攻撃力が高いと評価した免疫細胞ほど、オプジーボの効果が高いこともわかった。実際に免疫チェックポイント阻害剤を使った患者6人を比べると、免疫細胞の攻撃力が高い3人の方が、低い3人より、薬の効果がないなどの理由で治療を中断しないで済んでいたという。

岩堀さんは「現在、さらに多くの患者できちんと効果を予測できるか調べている。3年後くらいには実用化したい」と話している。

掲載元:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASM2R2HCNM2RUBQU006.html

免疫細胞「疲弊」の原因解明

免疫細胞のT細胞についてのニュースが発表されてましたので紹介いたします。


がんを攻撃する免疫細胞のT細胞は、活性化され続けると「疲弊」して攻撃能力がなくなることが知られている。慶応大と米ラホヤ免疫アレルギー研究所の共同研究チームは、疲弊の原因となる遺伝子を突き止めた。論文は28日、英科学誌ネイチャー電子版に掲載される。
タレントの堀ちえみさん、がん公表

オプジーボなどのがん免疫療法は、T細胞のがんを攻撃する力を利用するが、疲弊したT細胞の攻撃力は弱く、その仕組みの解明が課題だった。
慶応大医学部の吉村昭彦教授らは、疲弊化したT細胞で特徴的に働く遺伝子を解析。遺伝子の働きを調節するたんぱく質「Nr4a」が、T細胞のブレーキ役となる分子「PD-1」の働きを強める一方、がん細胞を攻撃する分子の産生を弱めていることも分かった。
Nr4a遺伝子を欠損させたT細胞をつくり、腫瘍を持つマウスに移植したところ、腫瘍が小さくなり、90日後も約7割が生存していた。通常のT細胞を移植したマウスは約半数のT細胞が疲弊し、90日後には全て死んだ。

掲載元 時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019022800115&g=soc

肝臓がんのゲノムを新手法で解析

国立がんセンターから「肝臓がんのゲノムを新手法で解析 B型肝炎ウイルスによる新たな発がんメカニズムを発見」というニュースが発表されてましたの紹介いたします。

国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区) 研究所がんゲノミクス研究分野(分野長 柴田 龍弘)は、第3世代のシークエンサーを用いた最新の解析方法でB型肝炎陽性肝臓がん108症例を含む、日本人の肝臓がん373症例のゲノム解析を行いました。

その結果、B型肝炎ウイルスに感染後、肝炎から肝臓がんに至る新たな発がんメカニズムを発見しました。今後、さらに研究を進め、肝臓がん予防への応用を目指します。また本研究では、これまで十分に解析されていなかった肝臓がんのゲノム異常とエピゲノム異常や喫煙・飲酒など発がん要因との関連についても明らかにしました。

本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援により行ったもので、研究成果は英国専門誌「Nature communications」に2018年4月24日付で発表されました。さらに本論文は、同誌において、ゲノム・エピゲノム領域における特筆すべき論文(Editors’ Highlights)として選抜、紹介されました。

https://www.nature.com/collections/ed-highlights-genomes-epigenomes


全文はこちら(国立がんセンターサイトにリンクされてます)
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2019/0226/index.html

 

「九州国際医療機構」設立

外国人診療態勢強化へ 九経連が医療機関支援組織 多言語化やトラブル対策

九州経済連合会は6日、医療機関での外国人患者の受け入れ態勢整備を進めるため、「九州国際医療機構」を設立した。在留外国人や訪日客が増加する中、医療従事者向けのセミナーを開催するなどして、多言語対応の充実や医療費未払いといったトラブル対策を支援する。

 代表理事に就任した九州大病院の赤司浩一病院長は福岡市で記者会見し「訪日客などにしっかりと医療を提供するとともに、先端医療を国際的に供給するシステムをつくりたい」と抱負を述べた。九経連の麻生泰会長は「医療を通じて外国人に安心感を提供することが、観光やビジネスの面で九州の魅力アップにつながる」と強調した。

 法務省などによると、九州の在留外国人は13万1532人(2018年6月末)。九州の空港や港から入国した外国人は、18年に初めて年間500万人を超えたとみられる。在留外国人や訪日客の受診が増えるのに伴い、医療機関の言語対応が不十分で適切な診療ができなかったり、外国人患者が日本の公的医療保険制度を不適切に利用したりする事例も起きている。

 機構は九経連に事務局を置き、問診票などの多言語対応支援や医療通訳の勉強会開催、多言語で受診できる医療機関や医療保険制度など外国人向けの情報発信にも取り組む。治療目的の「医療ツーリズム」で来日する患者と受け入れ医療機関のマッチング支援も手掛ける考えだ。

掲載元:西日本新聞
https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/485043/

小倉記念病院とGEヘルスケア・ジャパン,AI技術を活用した冠動脈内腔自動検出に向けた共同研究を開始

北九州の小倉にある小倉記念病院でAI技術を活用した研究についての発表がされてましたので紹介いたします。

一般財団法人平成紫川会 小倉記念病院(以下 小倉記念病院)とGEヘルスケア・ジャパン(株)(以下 GEヘルスケア)は,両者の経験・技術を融合することで,AI(人工知能)技術を活用した冠動脈内腔自動検出の実現のために共同研究契約を締結し,2018年8月28日より研究を開始した。

近年,急速な高齢化に伴い心臓疾患の患者数は増加傾向にあり,多くの医療費を要している。特に,心臓に栄養を送る冠動脈が詰まる,急性心筋梗塞は日本における死因の上位をしめている。急性心筋梗塞は時間の経過とともに心筋が壊死してしまうため,病院到着から90分以内に正確な診断と速やかな治療を行う必要がある。冠動脈が狭くなる狭心症においても,心電図や採血,心臓超音波などの検査ではみつからず,心臓CT検査でなければ診断が困難な場合もある。現状では心臓CT検査の解析は,トレーニングを受けた医療従事者が行っても,数十分から1時間程度かかることもあり,また,心臓病は夜間や休日にもかかわらず発症するが,これらの時間帯では,解析が不可能である施設が大多数となっている。このため,急性心筋梗塞や,狭心症の診断に時間を要することが問題となっている。

今回,小倉記念病院 循環器内科 山地杏平副部長とGEヘルスケアの共同研究チームは,AI技術の一つであるディープラーニング(深層学習)に分類される「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)[*1]」の一手法であるU-Net [*2]を用いて,小倉記念病院に蓄積された過去4年間約2万件の心臓CT検査画像(図1)と冠動脈画像(図2)から,心臓の特徴を学習させることにより,冠動脈自動診断が可能と考えた。現状の手作業による心臓CT解析を自動化することで,より精度が高く,リアルタイムに診断が可能となる心臓病診断システムが期待される。

掲載元:innavi net
http://www.innervision.co.jp/products/release/20181103